在住者泣かせの【シチリア語】とは?語源別のシチリア方言集も!

Ciao, チャーオ、こんにちは。シチリアに住むMaggio(@m_a_g_g_i_o )です。

私がシチリア島に初めて来た時に驚いたことのひとつが「方言」。地方意識の強いイタリアでは、方言はその土地の習慣や歴史を知るためのとても重要な存在です。

中でもシチリアはいろんな人達に土地を侵略されていた歴史があるので、語源がかなり特殊です。そんなわけで、今日はシチリア語についてふれてみたいと思います。

シチリア方言「シチリア語」とは?

シチリア語で書かれたエノテカの看板

イタリアは北から南まで地方色が強く、シチリア州でもシチリア語と呼ばれる言語が存在します。シチリア語はその複雑な歴史から、スペイン語・アラビア語・フランス語・ラテン語などいろんな言葉が混ざっているのが特徴です。

私とシチリア語との出会い

イタリア語を勉強して3ヶ月くらいした頃、私は当時付き合っていた今の旦那に会うため、はじめてシチリア島に来ました。少しは聞き取れるようにとシャドウイングもしてたので「ちょっとくらいわかるだろう」という軽い気持ちでいたのですが、方言が激しすぎてさっぱりわからないまま3ヶ月過ごす羽目になりました。

シチリアの中でも発音が変わる

日本でも東北地方などへ行くとよくあることですが、シチリア島のどこの出身かによっても発音が違ってきます。なので、シチリアの人達は発音を聞けばだいたいシチリアのどの辺に住んでいる人なのかわかるそうです。

私の住む西シチリアのとある地域でよく使う【シチリア方言集】

シチリア島の街角で見つけたヴァカンスバッグのディスプレイ

イタリア語とだいたい同じだけど音が訛ってるシチリア語

Si [シィ] →Si [スィ] はい
Io [イオ] →Jo [ィヨ] わたし
Bella [ベッラ] →Bedda [ベッダ・ベッリャ] 美しい
Caldo [カールド] →caudu [カーウドゥ] 暑い
Freddo [フレッド] →Friddu [フリーッドゥ] 寒い

イタリア語とはだいぶ違うよく使うシチリア語

Lui [ルイ] →Iddu [イッドゥ] 彼
Lei [レイ] →Idda [イェッダ] 彼女
Questo [クエスト] →Chistu [キッソ] これは
Qui [クイ] → cca [カ] ここ
Piccolino [ピッコリーノ] →Picciriddu [ピッツィリッドゥ] 小さい・子供
Andiamo [アンディアーモ]  →Amuni, Amuninni [エムニ・アムニン] 私たちは行く

日常会話でよく使う動詞

Comprare [コンプラーレ] →Accattari [アッカッターリ]  買う
Prendere [プレンデレ] →Pigghiari [ピッギャーリ] 取る
Spegnere [スペーニェレ] →Astutari [アストゥターリ] 電気などを消す

イタリアやシチリア島のバルで飲める【カッフェの種類】

アラビア語が語源になったシチリア語

Babbaluciu [バッバルーチェ] かたつむり
Capunata [カプナータ] カポナータ
Cassata [カッサータ] カッサータ
Giuggiulena [ジゥッジョレーナ] ごま
Zibbibbu [ズィッビッブ] レーズン
Zaffarana [ザッフェラーナ] サフラン

フランス語が語源になったシチリア語

Assiettati [アッシェッタティ]  座る
Autru [アウトゥル] 他の
Putia [プティーア] お店
Pumu [プンム] りんご
Racina [ラチーナ] ぶどう
Vu [ヴ] あなた方

スペイン語が語源になったシチリア語

Ajeri [アイェル] 昨日
Cucchiara [クッチャラ] スプーン
Isari [イザーリ・アイザーリ] 立ち上がる
Nzajari [ンザヤール] 試みる

シチリア人の言葉の使い方は詩的!

U pisci abballa! [ウ ピッシ アヴァッラ]

これは直訳すると「魚が踊ってるよ!」という意味のシチリア語です。

「魚が踊っている=まだ生きてる新鮮な魚だよ」という意味です。日常生活でこんな風な詩的な表現がちょいちょい混ざってくるので、リスニング力だけでなくちょっとした創造力が必要です。

ちなみに、私の実際見たシチュエーションは、小さなトラックで魚を仕入れて来たおじさんが道ばたで大きな声で「ウ ピッシ アヴァッラ!ウ ピッシ アヴァッラ!」と言っているような感じでした。

私の住んでいる街は海が近いので、港の市場で仕入れてきた魚を道ばたで売っている魚屋さんがたくさんいるのですが、そういった光景のひとつでした。

標準イタリア語がわかっててもイタリアの方言は難しい

これまで私が直接話す機会があったイタリア人は、ベルガマスク出身、トリエステ出身、ナポリ出身、サルデーニャ出身の人ですが、彼らに普通に話されるとやっぱりわからないです。

それは東京出身の人がいきなり東北の山奥へ引っ越したり、沖縄に引っ越して言葉がよくわからないのと同じか、それ以上に複雑です。

シチリアに近い南イタリア人の言葉はまだ分かるときがあるのですが、北に行くとアクセントも違うので、普段はわかるような簡単な言葉も「へ?」って聞き返してしまうことがあります。

じゃあどうやって勉強すればいいのか?

郷に入って覚える

残念ながら日本にはイタリア方言に関しての辞書や教本はおそらくないので、田舎に滞在する場合などは郷には入って覚えるしかないです。外国人が外国の小さな社会に入って行くというのは、かなり大変なことです。でも、その地域の言葉を覚えることでその地域の人達とのつながりをぐっと縮めることができたりもします。

イタリア語でのサイトを検索する

シチリア語に関しては、イタリア語で探せばある程度ネットで言葉を集めることはできます。ただしこのやり方は、イタリア語のレベルがある程度あることが前提です。また、イタリアのネットは日本のネットほど情報が豊富ではないので、行き先がマイナーであればあるほど、探しにくくなる事は否めません。

特定の地方出身の友達を作る

あんまり現実的な手ではないのですが、運良くその土地の人と繫がることができれば、生きた方言を学ぶことも可能です。

方言を学ぶことはその地域の歴史や習慣を知る楽しみに

街中で見かけた満開の白いオレアンドロ

はじめて私がシチリアに来た頃は、方言があることをよく知らずに来てしまったので、とても苦労したのを覚えています。

最初は意味や語源を知らずに適当に覚えていたシチリア語ですが、どこからやって来た言葉なのか知る事で、この土地にある複雑な歴史を肌で感じることができるのは、シチリア島ならではの貴重な経験だなあと思います。

文化が生きているということは、単純に美しくて貴重なことだなあと思う今日この頃です。この記事がシチリアに来る予定の誰かのお役に立ったら嬉しいです。